いまTwitchで配信している日本のストリーマーのトップといえば? 思い浮かぶのは加藤純一という人が多いのではないでしょうか。
私もニコニコ時代から彼のファンでしたが、5年前のTwitchの情勢はどうだったのか。ふと2022年7月のランキングを見ると、1位はfps_shaka(釈迦)で、加藤純一は12位でした。
意外でした。加藤純一が本格的にTwitchで配信を始めたタイミングで、このランキングの意味が変わってくるのではないか。そう思って、各年7月のランキングを5年分、全件数えました。
何を数えて、何を数えていないか
先に、この記事が何を数えて何を数えていないかを書いておきます。
- 対象:Twitchの日本語圏チャンネル
- 指標:最高同時接続者数(peak viewers)
- 期間:2022年から2026年までの各年7月
- 除外:YouTube Live、ニコニコ生放送
比較する月を7月に固定したのは、季節要因を排除するためです。年間を通した推移ではなく、同じ月同士を並べています。
なぜ他プラットフォームを混ぜないのか
ニコニコ生放送の「来場者数」は延べ人数であり、同時接続とは意味が異なります。YouTube Liveは配信中に同接が表示されますが、過去記録の公的なアーカイブが存在しません。
指標の異なる数字を並べても比較として成立しないため、Twitchに限定しました。
この数字はTwitch公式のものではありません
Twitchは過去の同接記録を公式には公開していません。この記事の数値はすべて第三者の集計サイトによる計測値であり、Twitch公式の発表ではありません。計測のタイミングや手法によって誤差が生じます。
元データはユーザーローカルの「ライブ配信ランキング」から取得しました。全件の出典は記事末尾に記載しています。
結論
5年分を集計した結果は、次の2点に要約できます。
上位帯そのものが縮小している。 同接3万人を超えた配信の本数は、2023年の71本から2026年の48本へ減りました。上位10枠の平均も93,136人から62,701人へ下がっています。
一極集中が進んだ。 最大占有者が全枠に占める割合は、2022年から2024年まで約30%で安定していましたが、2025年に65.1%へ跳ね上がりました。
この2つは同時に起きたわけではありません。転換のタイミングが違います。
5年分のデータ
| 年 | 1位の同接 | 上位10平均 | 掲載件数 | 人数 | 最大占有者 | 占有率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022 | 69,454 | 54,860 | 54 | 8人 | fps_shaka 16枠 | 29.6% |
| 2023 | 125,341 | 93,136 | 71 | 13人 | だるまいずごっど 22枠 | 31.0% |
| 2024 | 103,309 | 75,738 | 54 | 11人 | 加藤純一 17枠 | 31.5% |
| 2025 | 123,964 | 72,039 | 43 | 10人 | 加藤純一 28枠 | 65.1% |
| 2026 | 85,881 | 62,701 | 48 | 9人 | 加藤純一 29枠 | 60.4% |
「掲載件数」は、その月に同接3万人を超えた配信の本数です。理由は後述します。
各年の1位はこうなっています。
| 年 | 配信者 | 配信タイトル | ゲーム | 同接 |
|---|---|---|---|---|
| 2022 | fps_shaka | cr honban 2 | VALORANT | 69,454 |
| 2023 | fps_shaka | 何が起こるのか | Grand Theft Auto V | 125,341 |
| 2024 | 加藤純一 | VALORANT CJ 2024 Split2 Playoff Day2を見る男 | VALORANT | 103,309 |
| 2025 | 加藤純一 | ニコニコ老人会RUST最終日逆転優勝放送 | Rust | 123,964 |
| 2026 | 加藤純一 | キングスリーグCWC エキシビジョン VSZebras FC | Kings League | 85,881 |
変わったのは2024年から2025年のあいだ
最大占有率の推移を並べると、変化が起きた場所がはっきりします。
2022年から2024年までの3年間、トップに立つ人物は入れ替わっているのに、占有率はほとんど動いていません。fps_shakaでも、だるまいずごっどでも、加藤純一でも、およそ3割。
「1人が3割を取る」というのが、この時期のTwitch日本語圏の自然な形だったように見えます。
それが2025年に65.1%へ倍増します。転換が起きたのは2024年から2025年のあいだです。
ランクインした配信者の数も13人から9人へ減っており、枠が減ると同時に、それを分け合う人数も減りました。
追記:2026年8月のデータ(2026-09-18)
この記事の公開後、2026年8月のデータを取得しました。集中の傾向に変化が出ています。
| 指標 | 2026-07 | 2026-08 |
|---|---|---|
| 掲載件数 | 48本 | 54本 |
| 1位の同接 | 85,881 | 120,104 |
| 最大占有率 | 60.4% | 48.1% |
| ランクインした配信者数 | 9人 | 11人 |
最大占有率が5割を下回りました。2022年以降で最も低い値です。同時に掲載件数とランクインした配信者数がどちらも増えています。
ただし1ヶ月の動きであり、傾向とは言えません。2026年8月は大型の合同企画が2つ重なった月でした。企画によって掲載枠が分散した可能性があります。9月以降のデータで確認します。
なお占有率は下がりましたが、1位の数字は7月から約40%上昇しています。「集中が緩んだ」ことと「トップが弱くなった」ことは別の話で、この月は両方が同時に起きています。
この記事は各年7月を比較する構成のため、本文の数値は7月のままとしています。
同じTwitchでも、ある瞬間を切り取ると違う景色が見えます。Kickの日本語配信を数えたら、昼と夜で別物だったでは、日本語配信を全枠数えて分布を比べています。
1位の数字が落ちたのは、その1年後
一方で、1位の同接そのものは2025年まで12万台を保っています。
2022 69,454
2023 125,341
2024 103,309
2025 123,964
2026 85,881 ← ここで低下
集中度が急変したのは2025年、ピーク値が落ちたのは2026年。2つの変化は別々のタイミングで起きています。
ひとつの現象としてまとめて語ると、実際に起きたことを取り違えます。
2023年が全体のピークだった
5年のなかで2023年7月が突出しています。
- 掲載件数:71本(5年で最多)
- ランクイン人数:13人(5年で最多)
- 上位10平均:93,136人(5年で最高)
この月の上位はGTA Vのロールプレイ企画がほぼ独占していました。1位から4位までがfps_shakaとだるまいずごっど、6位以降もstylishnoob4を含めて同じ企画の参加者が並びます。
企画が界隈全体を押し上げた年でした。そして枠数も平均値も、これ以降2023年の水準には戻っていません。
上位を作るのは、毎年ちがう企画
5年を通して共通しているのは、上位帯が通常配信ではなく企画・イベント配信で作られていることです。
| 年 | 上位を占めた企画 |
|---|---|
| 2022 | CRカップ / VCT Masters |
| 2023 | VCR GTA(GTA Vロールプレイ) |
| 2024 | VALORANT Challengers Japan / ニコニコ老人会RUST |
| 2025 | ニコニコ老人会RUST |
| 2026 | キングスリーグ クラブワールドカップ |
企画の内容も主催者も年ごとに入れ替わりますが、構造は変わりません。
もうひとつ、大型企画は主催者だけを押し上げるわけではありません。2025年7月の「ニコニコ老人会RUST」には複数の配信者が参加しており、たいじ、バトラ、布団ちゃん、恭一郎、ゆゆうたがそれぞれランクインしています。企画は参加者全体を引き上げます。
2026年7月の上位3枠を占めたキングスリーグも、突発的なものではありません。加藤純一は2025年1月のキングス・ワールドカップ・ネーションズ2025で2年連続の日本代表オーナーを務めており、それ以前から続く関与の延長線上にあります。
キングスリーグへの参戦と、その配信がどこに残っているかについては加藤純一のキングスリーグ、試合はどこに残っているのかにまとめています。
加藤純一が1位を取ったのは2024年が最初
いまのランキングを一人で6割占めている加藤純一ですが、7月のデータで追うと、上位帯に定着したのは比較的最近です。
| 年 | 最高順位 | 同接 | 枠数 |
|---|---|---|---|
| 2022 | 12位 | 43,736 | 13 |
| 2023 | 47位 | 37,568 | 4 |
| 2024 | 1位 | 103,309 | 17 |
| 2025 | 1位 | 123,964 | 28 |
| 2026 | 1位 | 85,881 | 29 |
2022年の時点で13枠あるので、露出は当時から多かった。ただし上位帯には届いていませんでした。2023年はGTA企画に参加していないため4枠まで減っています。
なお、加藤純一のTwitch移行時期については資料によって記述が分かれます。「2020年からTwitch中心」とするものと「2022年以降に本格移行」とするものがあり、段階的な移行なので一点には定まりません。
ただし今回の集計では、2022年7月時点ですでにTwitch月間ランキングに13枠入っていることが確認できます。
関連する年表
数字と並べて読むために、この期間の出来事を時系列で置いておきます。因果関係については判断していません。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2022-03-12 | YouTube・Twitchで大型の同時配信。YouTube 46.3万人、Twitch 11.1万人 |
| 2024-07 | Twitch月間ランキングで初の1位(103,309人) |
| 2024-09-13 | Twitchで配信。同月の配信が日本記録29.5万人を記録 |
| 2025-01 | キングス・ワールドカップ・ネーションズ2025で日本代表オーナー(2年連続) |
このランキングには、クセがあります
集計に使ったランキングには、知っておくべき仕様がいくつかあります。引用しているサイトのほとんどが触れていない部分です。
配信者単位ではなく、配信1本単位
同一の配信者が複数の配信でそれぞれ枠を取ります。「上位◯人」ではなく「上位◯本」として読む必要があります。
この記事で「占有率」と呼んでいるのは、全枠のうち何本をその配信者が占めたかの割合です。視聴者数のシェアではありません。
掲載基準は同接3万人超
各年の最下位はこうなっています。
2022 30,433
2023 30,073
2024 30,016
2025 30,202
2026 30,053
5年とも3万人付近で終わります。順位数が固定されているのではなく、基準を超えた配信をすべて掲載する方式だと考えられます。
そのため「掲載件数」は、そのままその月に3万人を超えた配信の本数を示す指標として使えます。この記事で件数の増減を重視しているのはそのためです。
日本語圏以外が混ざる
ページ下部には日本人配信者の同接数を参考に作成している旨の注記がありますが、実際には日本語圏外の配信も含まれます。2026年7月の4位(59,383人)はロシア語圏の配信者でした。
この記事では除外せず、そのまま集計しています。恣意的に取捨選択すると検証できなくなるためです。
表記のゆれ
月次のURLでもページタイトルは「デイリー」のままになっています。サイト側の表記ゆれです。
途中で外した推測
集計の過程で、一度書いて後から取り下げた解釈があります。記録として残しておきます。
最初に2025年と2026年の2年分だけを見たとき、掲載件数が43本から48本へ増えていたので、「突出した記録は下がったが、中位層は厚くなった」と考えました。
その後2023年を追加したところ、71本→43本→48本でした。増えたのではなく、大きく減ったあとに少し戻っただけです。
2点だけを見て傾向を読んだのが誤りでした。
同じ過程で、掲載基準が3万人だという推測のほうは、3年目、4年目と追加しても最下位が3万人付近で終わり続けたため確定しています。推測が当たる場合と外れる場合の両方がありました。
もうひとつ、集計の途中で2025年の上位10平均を71,639人と記載していましたが、再計算すると72,039人が正しい値でした。この記事では修正済みの数値を使っています。
まとめ
日本のTwitch上位帯で起きているのは、次の2つです。
縮小:3万人を超える配信の本数が71本から48本へ。上位10枠の平均が93,136人から62,701人へ。
集中:最大占有率が約30%から60%台へ。ランクインする配信者は13人から9人へ。
集中が起きたのは2024年から2025年、ピーク値が下がったのは2025年から2026年で、タイミングは別です。
そして5年を通して変わらないのは、上位帯を作るのが通常配信ではなく大型企画だという点でした。企画の中身も中心人物も入れ替わりますが、その構造だけは動いていません。
出典
- ユーザーローカル「Twitch最大同時接続数ランキング 2022年7月」(2026-08-30 取得)
- ユーザーローカル「Twitch最大同時接続数ランキング 2023年7月」(2026-08-30 取得)
- ユーザーローカル「Twitch最大同時接続数ランキング 2024年7月」(2026-08-30 取得)
- ユーザーローカル「Twitch最大同時接続数ランキング 2025年7月」(2026-08-30 取得)
- ユーザーローカル「Twitch最大同時接続数ランキング 2026年7月」(2026-08-30 取得)
- ユーザーローカル「Twitch最大同時接続数ランキング 2026年8月」(2026-09-07 取得)
- 日本記録認定協会「Twitchにおける日本最大同時接続数」(2026-08-30 取得)
- goal.com「キングスW杯2025 日本代表オーナー」(2026-08-30 取得)
- Wikipedia「加藤純一」(2026-08-30 取得)

